募集要項
休職について
おりたメンタルクリニックは、社会人の休職から復職までトータルにサポートするクリニックです。
ここでは、当院への相談の中で多くを占める「休職」について、掲載しています。
メンタル疾患による休職とは?手当・診断書・期間などについて解説
パワハラ、セクハラ、人間関係の悩みから、「会社に行きたくない」という人は少なくないはずです。
気分が落ち込む、食欲低下、不眠、集中力低下などの症状で、仕事が手につかなくなることもあります。
それはメンタル疾患が原因かもしれません。
この記事では、メンタル疾患とは何か、メンタル疾患の対応法、休職のための診断書、休職中の過ごし方などについて解説します。
これを読めば、休職してメンタル疾患を治療する方法が理解できます。
メンタル疾患を改善させ、職場復帰を目指す際に役立ててみてください。
メンタル疾患とは
メンタル疾患とは俗称であり、広い意味での精神疾患に含まれます。
うつ状態や幻覚・妄想などの精神症状を来す病気です。
適応障害・うつ病・統合失調症がよく知られており、日本国民の生涯を通して約5人に1人の割合でかかると言われています。
適応障害とは?
就職などによって環境が変わるとき、うまくなじめないとストレスとなり、心身に影響が出ることがあります。
よく見られる症状は、不安感、意欲の低下、集中力の低下、不眠、食欲不振などです。
適応障害は、周囲から「甘えている」「性格の問題」などと見なされてしまうことがあります。
しかしストレスがかかり始め、3カ月以内に精神症状・身体症状が現れ、日常生活に支障を来す場合、適応障害と診断されます。
うつ病とは?
一日中気分が落ち込んでおり、動作が緩慢になり、何をしても楽しめない「うつ状態」が見られ、不眠・食欲不振・疲労感などの身体症状をおこす病気です。
うつ病は、多くみられる精神障害であり、誰でもかかる可能性があります。
うつ病のはっきりとした原因は分かっていませんが、遺伝的な要因、つらい出来事などがあると、うつ病が発生しやすくなります。
またうつ病の誘因として、ストレスが見られることが多く、職場での人間関係の悩みは大きな誘因です。
うつ病になると他者とのコミュニケーションが困難となり、業務に支障を来すのが特徴です。
また集中力が低下し、業務内容によっては重大な事故につながることもあります。
メンタル疾患の対応について
メンタル疾患が疑われる症状が出ている場合は、精神科・心療内科を受診するとよいでしょう。
メンタル疾患は治療すれば改善する病気です。対応策は環境調整と服薬治療の2種類があります。
環境調整
職場環境の問題でメンタル疾患を起こしている場合、休職や部署移動など職場の環境調整を行います。
具体的には医師が作成した診断書を職場へ提出し、休職や異動を願い出る方法です。
休職期間は暫定的に1〜2カ月とし、必要に応じて延長することが多くみられます。
また、パワハラなどが原因の場合、復帰する際に部署異動を条件にすることがあります。
長時間労働が原因の場合、業務量の軽減を条件として復帰するのも一つの方法です。
またあまりにも理不尽な対応を受ける職場ならば、退職することもあるでしょう。
服薬治療
不眠・不安・うつ状態などを改善させるため、睡眠薬・抗不安薬・抗うつ薬などを服用して治療する方法です。
必ずしも必要なものではありませんが、使用した方が回復に向かいやすいケースが多くみられます。
主治医と相談しながら服薬を検討するとよいでしょう。
休職とは?
労働者が労働することが不能あるいは不適当な場合、雇用者が労働契約を維持させながら、労働の義務を免除・禁止することです。
休職は就業規則で規定されていることが多い制度です。
休職には以下の3種類があります。
- 病気を理由とした「病気休職」
- その他の自己の都合を理由とした「自己欠勤休職」
- 刑事事件で起訴された場合の「起訴休職」
公務員については公務員法で休職制度が定められています。
民間企業では、法律上の規定はなく、休職制度は就業規則で定められているのが普通です。
就業規則に休職の規定がない場合は、雇用者と労働者で話し合い、休職に類する措置をとります。
ただし労働者が休職に応じず、勤務しなければ「欠勤」として扱われます。
メンタル疾患での休職期間
業務外のメンタル疾患が原因で、欠勤が一定期間(3~6カ月が多い)になる場合に命じられる制度です。
ただし休職期間中にメンタル疾患が回復して、労働が可能となれば復職できます。
メンタル疾患で業務に支障を来している労働者がいるにも関わらず、これを雇用者が放置すれば、メンタル疾患の悪化、他の職員への支障を来し、安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
労働者は休職を求められるのか?
病気休職が就業規則の休職の条件を満たしていれば、労働者は休職を求められ、使用者はそれを拒否できないとされています。
少なくとも一方的に解雇はできません。
病気休職を希望する労働者は、次項の手続きに従い、休職を求めるとよいでしょう。
休職の手続き
以下の手順に沿って休職の手続きをとることが多いようです。
1_医師による診察
まず精神科・心療内科を受診します。
診察の結果、休職が必要なメンタル疾患の状態であると診断されることが必要です。
2_休職のための診断書の発行
メンタル疾患の病名・症状・休職の期間などが記載されます。
3_職場と休職について相談
診断書をもとに、雇用者に現在の状態を知ってもらい、今後について相談します。
4_診断書の提出
提出先(直属の上司、人事部、総務部など)を確認して提出します。
5_休職
雇用者から許可が得られれば、休職を開始します。
休職制度のメリット
労働者は一定期間解雇・退職を猶予され、メンタル疾患の治療に専念できます。
休職期間中も労働者の立場は失われないため安心です。もし休職せずに仕事を休むと「欠勤」として扱われてしまいます。
雇用者の側も適正な労務管理につながり、労働トラブルの予防ができます。
また休職後に解雇が行われることはハードルが相当に高く、不当な解雇を防ぐことが可能です。
休職中の手当はどうなるのか
法律的には休職中の従業員に対して雇用者は給与を支払う義務はありません。
労働基準法第24条にも「ノーワーク・ノーペイの原則」が定められています。
独自の病気休暇制度をもつ会社もありますが、メンタル疾患による休職は賃金が支払われないことが多いようです。
一般的には、まず有休を消化します。その後は健康保険での傷病手当金(給料の一定額、2/3に相当が支払われる)を受給して生活の糧とするケースが大半です。
休職中の治療
精神科・心療内科に2〜4週間ごとに通院して治療します。
その間、リワークプログラムなどを利用して、復帰を目指します。
リワークプログラムとは、職場復帰に適応できるように、心身のコンディションを整えるプログラムです。
様子を見ながら、休職期間を延長することもありますが、医師が職場復帰しても問題ないと診断した場合、復職の診断書を書いてもらいます。
それをもとに、会社関連の産業医などが復職の適否を判断します。
休職中の過ごし方
休職中は仕事のことはすっかり忘れて、しっかり休むとよいでしょう。
メールチェックしたり、業務連絡をとったりしないで、最初は何もせずにボーっと過ごしてください。
1〜2週間後、気分が上向いてきたら、散歩や外出を開始します。
その後は主治医と相談しながら活動範囲を広げていきましょう。
ただし起床時間・食時間などの常識的な生活サイクルを守ることは必要です。
また休職中に人生に関わるような大きな決断は避けるほうがよいでしょう。
もし必要なら必ず主治医と相談してください。
復職の仕方
しっかりと改善してから復職することが大切です。
回復が不十分なのに無理に復帰してもすぐ再発してしまいます。
またケースによって復職の仕方は異なる点に注意してください。
同じ部署に戻る場合もありますし、部署異動する場合もあります。
部署異動する場合は医師の診断書が必要です。
どうしても職場へ復帰するのが無理な場合は退職することもあります。
その際、解雇よりも自然退職のほうが再就職しやすいのはいうまでもありません。
まとめ
職場での人間関係の悩みから心身の不調を来したり、気分が落ち込んだりしている人は「メンタル疾患」かもしれません。
その疑いがある人は、まず精神科・心療科を受診してください。
メンタル疾患は治療すれば改善する病気です。
しっかりと治療するためには休職が必要な場合があり、その際には主治医に診断書を発行してもらい、雇用者の許可を得なければなりません。
休職中は健康保険での傷病手当金を生活の糧とし、メンタル疾患の治療に専念します。
リワークプログラム・薬物療法などで治療し、回復すれば復職が可能です。
早めに精神科・心療科にご相談ください。